虫歯・歯周病について
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虫歯のお話
人はなぜ、歯磨きをしなければならないのか
人はなぜ歯磨きをするようになったのでしょうか。あるテレビ番組でも紹介されていましたが、それは「料理をするようになった」からです。野生動物は生のまま料理をせずに食べるので、歯磨きの必要がありません。野生動物が食べるものは噛みごたえのあるものばかりで、自然と歯磨きの効果があります。でも人間は食材を切ったり、加熱したり、味をつかたりすることではを磨かなければならなくなりました。
虫歯の原因は、ずばり砂糖です。お口の中にあるたくさんの菌のうち、虫歯菌は砂糖を原料として酸をつくり出します。それが歯を溶かすことで起きるのが虫歯なのです。つまり「砂糖を摂取しなければ虫歯にはならない」ということになります。
しかし、現代の食生活でまったく砂糖を摂らないことは難しいでしょう。頻繁に虫歯ができるのであればやはり、食に対する考えを見直し、現代にあった方法でお口の状態を保つことが必要になります。
虫歯予防の第一歩は、食生活の見直しから
ここでアメリカの歯科医師のプライス博士の研究を紹介します。アメリカの先住民の話になりますが、「伝統食」と呼ばれる食生活がありました。その地域で長く継続された食のスタイルで、肉は生肉、野菜や木の実も収穫したままの状態といった、自給自足に近い生活です。
それと比較対照される食生活が、小麦、砂糖、油脂類、加工食品を示す「近代食」と呼ばれるものです。伝統食を食べていた人の虫歯保有率が0.09%だったのに対し、近代食を食べていた人の割合は13%まで数字が上がることが明らかになりました。
しかし、現代では前述のように「伝統食を食べ砂糖を摂らなければいい」というわけにはいかず、口にするものに対して注意する心がけが重要なのです。
虫歯になるメカニズムと、注意すべきポイントを理解しましょう
虫歯になる作用は、食事を摂ってから3~5分後に起きるといわれています。また、口の中の唾液が酸を中和し、歯を再石灰化させる働きは、食後30~50分後に始まります。
だらだらと食事を続ければ虫歯が次から次へとつくられる結果となり、復旧も追いつきません。特に甘みを感じるもの、スポーツ飲料水やお酒なども含め、断続的でも摂り続けないことが大切です。ほかにも、以下のポイントに注意し、食生活に取り入れてみることで、虫歯を防げる可能性は高くなっていきます。
虫歯を防ぐ食生活のポイント
- 間食は時間を決めて。砂糖の多いものはなるべく避けるかメリハリをつけてください。
- 夕食の1時間前は飲食をやめましょう。夕食をたくさん食べ、寝る前にお腹が空いて間食してしまうことを防ぐためです。
- 甘い飲み物を冷蔵庫に買い置きしないようにします。冷たいものはつい飲みすぎてしまうからです。
- 歯磨きは最低一日1回、寝る前に行いましょう。
歯周病のお話
“静かな病気”、それが歯周病の本当の怖さ
「サイレントディシーズ」という言葉を聞いたことがありますか?“静かな病気”という意味で、歯周病はまさにこれにあたる怖い病気です。
歯周病は日本人の7~8割が罹患し、歯を失う原因の第1位でもあります。しかも、慢性疾患のため、一度かかってしまうとあとは進行を止める治療しかできないのです。にも関わらず、状態が悪化するまで自覚症状はほとんどありません。そして、自覚したときはすでに手遅れになっている可能性のある、まさに静かに進行する怖い病気なのです。
歯周病は、全身のあらゆる病気を悪化させる可能性も!
口腔内にはたくさんの菌が存在しますが、そのなかでも「歯周病原菌」に感染することで歯周病が起こります。この歯周病原菌が原因で歯茎は腫れ、歯を支える骨が溶けてしまうのです。
症状が軽いうちは、病原菌は歯茎の周辺にとどまりますが、進行するうちに炎症を強めるたんぱく質が増え、歯茎の血管から血液中に菌が流れ出します。その菌が血流にのって臓器や血管の壁にたどりつき、毒性を発揮。体に悪影響を及ぼしていきます。
歯周病が影響するといわれる疾患とは
①糖尿病
歯周病の炎症によってつくられるたんぱく質には、血糖値を下げるインスリンの効果を阻む作用があります。そのため、血糖値がコントロールしにくくなり、糖尿病を悪化させる可能性があります。
また、免疫細胞も損失するため感染症にかかりやすくなり、歯周病と糖尿病、双方に悪影響があります。
②循環器系の疾患
歯周病を持つ人は、そうでない人に比べて循環器系の疾患の発生率が1.5~2.8倍高いという調査結果があります。歯周病原菌が直接、血管に障害を与えるだけでなく、菌が原因でできたたんぱく質により、血管内の免疫細胞が活性化され、それが異常を起こすともいわれています。
③誤嚥性(ごえんせい)肺炎
歯周病原菌が気道を経由して感染を広げる疾患の代表的なものが、誤嚥性(ごえんせい)肺炎です。高齢者の死亡原因第3位でもあり、口の中の歯周病原菌が食べ物や唾液に混ざって気道に入り、肺に感染することで発症します。飲み込む力が弱い高齢者に多い疾患です。
※歯周病はほかにも、リウマチ、早産、低体重児出産、アルツハイマーなどにも関連しているといわれています。
虫歯が少ない人ほど歯周病になる可能性が高い?
歯周病は全身の病気を悪化につなげる非常に怖い病気です。虫歯ができたので歯医者に行ったら、そこで歯周病も見つかった。歯医者へ行く理由と歯周病が見つかる経緯は、ほとんどがこういったケースだと思います。
しかし、実はこんなデータもあります。血液中のCaイオン濃度の関係で虫歯が多い人は歯周病を発生しにくく、虫歯がない人ほど歯周病にかかりやすくなるというのです。
詳しい理由は体質や遺伝などさまざまなので割愛しますが、虫歯がないからといって安心し、歯科の検診を受けずにいると、知らず知らずのうちに歯周病が悪化する可能性があることを知っておいていただきたいと思います。
虫歯治療
虫歯を放置すると神経部分まで菌に侵され、神経が死んでしまうため痛みがなくなります。そして歯の頭が大きく欠け、噛めない状態となります。
この状態になると治療が難しく、抜歯しなければならなくなりますが、今の技術では、このような状態でも歯をつくることが可能です。当院では、なるべく歯を残せるよう根幹治療にも力をいれています。
歯周病治療
歯周病の治療で大切なことは、歯周病ポケットの汚れを取り、歯石を除去した上で、口内を一定レベル清潔に保てる状態をつくることです。ポケットが深ければ専用の器具を使う必要があるため、歯科でのプロフェッショナルなクリーニングは欠かせません。
また、歯石は3~6カ月で新たにできるものです。当院では定期的な検診はもちろん、セルフケアについても丁寧に指導し、長期的なサポートを行っています。
根幹治療
当院では、根幹治療を第一に考えています。根幹治療は、歯の根っこの管になっている部分の神経を取り、消毒した上で行う治療です。これが中途半端だと、神経が残ってしまったり、虫歯が再発したり、周囲の歯にまで影響を及ぼしたりする可能性があります。根幹治療は、患者さまの歯の寿命を左右する大切な治療です。当院では時間をかけて丁寧に行っています。
予防治療
大人の口の中には300~700種類の細菌が棲んでいます。数にすると、よく歯を磨く人でも1,000~2,000億個、あまり磨かない人で4,000~6,000億個、ほとんど歯磨きをしない人にいたっては1億個の菌が潜んでいるといいます。
毎日行う歯磨きでも、磨き残しは誰にでもあるものです。日々の生活で口内を清潔に保ち、健康な歯を維持できるよう、私たちプロフェッショナルに定期的なお掃除をおまかせください。