副医院長ブログ
歯周病で失った骨を作る魔法の薬①
骨再生薬の話
歯周病は歯の周りついた汚れ(プラーク)が原因で歯の周りの組織が炎症を起こし、骨を溶かしていく病気です。失われた骨は基本的にはもう元には戻りません。それを再生する魔法の薬があります。
それはエムドゲイン®:赤ちゃんの時の歯の発生過程の研究から生まれた歯周病患者のためのブタ歯胚組織を使用した歯周組織再生用材料です。
エムドゲイン® ゲルによる歯周組織再生治療
歯周病治療と歯周組織再生
歯周病により歯周組織が破壊されると結合組織性付着が失われます。そこには上皮のダウングロースによる深いポケットが形成されます。
理想的な歯周組織の再生は、接合上皮付着が最小限必要であることに加えて、コラーゲン繊維が封入された新生セメント質の形成による新付着と、これに伴う新生骨を獲得することなどであり、この再生すなわち歯周組織再生を可能にするために、今まで様々な研究がなされてきました。そのひとつとして失われた歯周組織を修復するために、歯周外科治療などが試みられていますが、多くの場合、ごく一部の結合組織性新付着と長い上皮性再付着の形成による治療となっています。
エナメルマトリックスたん白質
歯の発生期に重要な役割を果たすタンパクのひとつに、エナメルマトリクスたん白質があります。このたん白質はエナメル上皮が分泌するアメロジェニン・ファミリーのひとつで、歯根形成時にヘルトウィッヒ上皮からも分泌されており、エナメル質の形成だけでなく、セメント質の形成や機能性を有した付着組織の発達に関わることが示されています。このことからエナメルマトリックスたん白質は、歯周組織再生環境の提供に役立つと考えられています。
EMDとは、エナメルマトリックスたん白質を含むたん白質分画であり、このEMDに着目してスウェーデンのビオラ社(BIORA AB)が開発した製品がエムドゲイン® ゲルです。
骨が出来る様子はこんな感じです。
ただ、何でもかんでも使えるものではありません。
体に大きな病気のある方、タバコを吸われる方、歯磨きが上手にできない方には使えません。
抜かないといけないような歯にも基本的には使えません。
真面目に歯周病を治そうと、努力しないと(セルフケアの技術を上げる、定期的に歯科医院に受診する等)とまず使えないので注意してください。
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